京峰石だより(blog)

「京峰路(京ほうじ)」──焙じ香と歩む、京の道。新作チーズテリーヌ、誕生。その①

「京峰路(京ほうじ)」──焙じ香と歩む、京の道。新作チーズテリーヌ、誕生。その①

京都南部・山城の地は、千年の都を支えてきた「お茶のふるさと」。
宇治茶や抹茶の名産地として名高いこの地には、単に茶葉を栽培するだけでなく、茶の精神や文化を育ててきた歴史があります。

そんな山城の風土に敬意を込めて、私たちはほうじ茶の香りに満ちた新たなチーズテリーヌを作りました。
その名は──「京峰路(京ほうじ)」


■「京峰路(京ほうじ)」とは

この名前には、「京都の峰から都へと続く香りの道」という思いを込めました。
「峰」は、茶葉が育つ山の風景と、焙じ茶の香りの高みに。
「路」は、香りが辿ってきた歴史の道筋を象徴しています。

「きょうほうじ」という響きには、「京の焙じ(茶)」という意も自然に含ませ、香ばしさと品格の両立を目指しました。


■ かつて「売れ残り」だったお茶が、香りの芸術になった

実は、ほうじ茶はもともと上級茶とは違う立ち位置にありました。
一番茶や新芽などは高級煎茶・抹茶に加工され、残された二番茶や番茶、茎茶は、出荷されずに家人や茶農が飲むための「日常茶」だったのです。

けれど、そこに「どうせ飲むなら美味しくしよう」という知恵 が働いた。
焙煎という工夫が加えられ、茶葉の香りが際立ち、味わいが深まり──
いつしかそれは「商品」としても通用する香りの芸術へと昇華されていきました。

捨てられるはずだったものに、価値を見出す(付加価値)。
それこそ、人間らしい再生と工夫の精神ではないでしょうか。


■ 味わいは、まるで「香りで歩く道」

「京峰路」のチーズテリーヌは、京都産ほうじ茶を強火で焙煎し、香りを最大限に引き出したエッセンスをベースにしています。

ひと口頬張れば、焙じた茶の芳ばしさがふわりと鼻を抜け、
その後にクリームチーズのまろやかさが重なり、香りとコクの余韻が静かに広がります。

まるで、石畳の坂道を登りながら、どこかの寺院で焙じ茶をいただくひとときのような──
そんな情景が浮かぶ味わいです。


■ 京都の「逆転の美」を、ひと口に。

「京峰路」は、単なるスイーツではありません。
それは、価値を見出す目と、香りを楽しむ心を味わう道です。

上質な素材も、工夫次第で新しい美しさを見せる。
ましてや、それが「かつては選ばれなかった素材」であるなら、なおさらです。

このチーズテリーヌは、京都という土地の哲学=余白を愛し、香りに価値を見出す──そんな文化そのものを形にした一品です。


■ 最後に

贈り物にも、ご自宅用にも。
どんな時間にも寄り添う、京の香りのスイーツとして「京峰路」をご賞味ください。

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