京峰石だより(blog)
日本の柚子栽培発祥の地、水尾。
京峰石の「チーズテリーヌ嵯峨」に使われている柚子は、
京都・水尾で育てられた実生柚子です。
水尾は京都市右京区、愛宕山の麓に広がる山里。
古くから「柚子の里」と呼ばれ、日本における柚子栽培の発祥地のひとつとされています。
この地で柚子が育てられてきた背景には、
単なる農業としてではない、時間と文化の積み重ねがあります。
皇室と水尾の関わり
水尾は、清和天皇ゆかりの地として知られています。
現在も清和天皇社や清和天皇陵が残り、
古くから皇室・貴族と関わりの深い土地でした。
また、鎌倉時代後期には花園天皇が柚子の種を植えたという伝承も残り、
これが水尾における柚子栽培の始まりと語られています。
天皇や貴族の食卓に供されるものは、
量や効率よりも、香り・品格・余韻が重視されたはずです。
水尾で柚子が選ばれ、育て続けられてきた理由は、
その価値観と無縁ではなかったと考えられます。
実生柚子という選択
現在主流の柚子栽培は、成長の早い「接ぎ木」です。
一方、水尾では古くから、
種から育てる実生栽培が続けられてきました。
実がなるまでに15〜18年。
効率とは真逆の方法ですが、
香りに奥行きが出ます。
誰に向けて育てるのか。
その問いが、この選択を支えてきました。
風土が育てる香り
清らかな水、谷に囲まれた山里、
人の手が過剰に入らない環境。
水尾の柚子の香りは、
土地と時間が重なって生まれたものです。
香りそのものが、この場所の記憶でもあります。
素材を知るということ
水尾の実生柚子は、
単に香りが強い素材ではありません。
何百年もの時間と文化を内包した存在です。
その背景を知ることで、
チーズテリーヌの一片は、
味だけでなく、時間ごと味わう体験へと変わります。