京峰石だより(blog)
チーズテリーヌに西京味噌。京都らしい隠し味の話。
チーズテリーヌに西京味噌。京都らしい隠し味の話。
それが、西京味噌です。
「チーズテリーヌに味噌?」
初めて聞くと、少し不思議に思われるかもしれません。
味噌といえば、お味噌汁や和食のイメージ。
チーズテリーヌとは、なかなか結びつかない組み合わせです。
でも実際に合わせてみると、不思議なくらい馴染みます。
西京味噌は「しょっぱい味噌」ではありません
西京味噌は、京都で親しまれてきた白味噌です。
特徴のひとつが、米麹をたっぷり使った、やわらかな甘み。
一般的な味噌から想像するような強い塩味ではなく、まろやかで、ほんのりとした甘さがあります。
だからこそ、チーズのような乳製品とも相性がいい。
西京味噌が前に出るというよりも、チーズの濃厚さの奥に、もうひとつ深みをつくってくれます。
食べた瞬間に、
「味噌が入っている」
とは感じないかもしれません。
でも、入っていないものと比べると、どこか味わいが違う。
それが、京峰石にとっての西京味噌です。
主役ではなく、「隠し味」
お菓子に使う素材というと、どうしても分かりやすい味を想像します。
抹茶なら抹茶の香り。
柚子なら柚子の爽やかさ。
でも、西京味噌は少し違います。
主張するための素材ではありません。
チーズのコクを受け止め、甘みを整え、食べた後に残る味わいを少し深くする。
前には出ないけれど、なくなると何か物足りない。
そんな存在です。
元々、西京味噌は京都の食文化の中で、祝い事や特別な日の料理にも使われてきました。お正月のお雑煮や、茶道の初釜でいただく花びら餅などにも、その味を見ることができます。
華やかに主張するのではなく、料理や菓子の中に静かに馴染む。
そんなところも、どこか京都らしい素材だと思います。
洋菓子だけれど、京都を感じるものに
京峰石が作っているのは、チーズテリーヌです。
分類すれば、もちろん洋菓子です。
でも、せっかく京都で作るのなら、ただ美味しいチーズテリーヌを作るだけでは少し物足りない。
ひと口食べたときに、
「これは京都のお菓子なんだな」
と、どこかで感じてもらえるものにしたい。
そのために選んだ素材のひとつが、西京味噌です。
和菓子をそのまま洋菓子にするのではなく、京都で昔から親しまれてきた素材を、チーズテリーヌの中にそっと取り入れる。
それが、京峰石らしい京都の表現だと考えています。
「何が入っているの?」から始まる楽しさ
贈り物としてお渡ししたとき、
「これ、西京味噌が入っているんだって」
そんな一言があるだけで、食べる時間が少し変わります。
「味噌?」
と驚いて、
ひと口食べて、
「言われないと分からないね」
と話す。
お菓子そのものだけではなく、そんな小さな会話まで生まれたら、それも贈り物の楽しさではないでしょうか。
京峰石のチーズテリーヌに使う西京味噌は、主役ではありません。
けれど、
主役ではないからこそ、大切な素材。
京都の白味噌がつくる、ほんの少しの甘みと深み。
ぜひ、そんな「隠し味」にも気づいていただけたらと思います。